経理を自分で行っている個人事業主ってどれくらいいるんでしょう?私は幸か不幸か、最低限の簿記知識はあるので自分で行っています。スプレッドシートで自作した経理システムで。昨年度まではそれで良かったんですが、今年度分は事情により複雑さが極まりすぎ、自作は危険と判断。やよいの青色申告に戻ろうとしています。でも Mac ユーザーなので普通には使えない上、様々な壁が立ちはだかって… これはそんな恐らくドマイナーであろう手段を取った人間の記録です。
なお、ややこしくて特殊な手段をとっています。困り果ててここにたどり着いた方がお読みいただく際は、運良く何かヒントが得られたらラッキーくらいに思っておいてください。なぐり書きの備忘録なので、気になる箇所や、万が一にも「同じことしたよ!」という方がおられましたら、𝕏 や bluesky で一声おかけください。きっと私たちは同志です。
1. Macでやよいの青色申告を動かそう!
最初の第一歩。Parallels Desktop で仮想 Win11 を動かし、そこにやよいの青色申告をインストールすればOK。カンタンですね。アプリは買おう。
2. スプレッドシートで経費を入力していこう!
いちいち Windows とやよいを起動するのは面倒なので、単純な経費の入力は Google スプレッドシートで行います。でも普段から入力なんてできません。良くて2ヶ月に1度、ScanSnap でレシートをスキャンしたものを元に入力します。ScanSnap は買おう。
スキャンから仕訳入力の手順
- 電子帳簿保存法のルールに則ったファイル名(YYYYMMDD-店名-金額)を設定しているので、スキャンしたレシートを格納しているフォルダに Terminal でアクセスし、
ls
でファイル名のリストを取得、コピーします。
Terminal で心が折れた方は、レシート格納フォルダを右クリックし「サービス→フォルダに新規ターミナル」で Terminal を開いたらls
と入力するだけですので、試しに踏ん張ってみましょう。 - それをVSCodeなどにペーストし、
日付
、金額
、店名(=摘要)
に分割します。
ここは各項目に分割し、適切な形式にパパっと編集できればアプリは何でもOK。 - スプレッドシートであらかじめ用意した仕訳日記帳に各列をコピペ後、勘定科目を設定したり摘要を補足すれば完成です。
※ScanSnapには、スキャンと同時にOCRしてクラウド保存してくれる素敵な機能があります。が、まだまだミスが多い上にレスポンスもイマイチ。さらにレシートデータは万一を考えて複数個所に保存してるので、残念ながら手作業で行っています。
3. CSVで書き出してインポートし… エラー!
やよいへのインポートが罠だらけ。そのままやるとほぼ間違いなく「インポート可能な形式ではない、または1行の項目数が正しくないため、インポートできません。インポートを中止します。」と怒られます。この場合、通常出力されるエラーログが出力されないのが辛い所。形式も項目数も正しいよ?どうして?
エラーのポイント
- やよいからエクスポートして、それをベースに作ればいいだろうと「汎用形式」で書き出すとアウト。まるで国が吐き出すような特殊なデータを作られます。さらにこれ、やよいにインポートできません。汎用とは。
- CSVのデータは必ず 仕訳データの項目と記述形式(他製品から仕訳データをインポートする場合など)| やよいの青色申告 サポート情報 にある通りに作ること。必須項目に注意!あと使うアプリが青色申告かスタンダードかなどで形式が変わる点も注意!(右上のセレクトボックスから選べます)
- CSVは必ず、文字コード:
Shift-JIS
、改行コード:CR+LF
にすること。 - 文字コードを変換する際には、UNICODEの正規化もしておくと◎ (理由は後述)
- 拡張子は
.txt
にしておくと、インポート時の選択が少しだけラクになります。(理由は後述)
上記でエラーが解消できました。でも1つずつ変換する手間はイヤ。ということで、これを一発でクリアしましょう。
4. CSVデータを一発で変換しよう!
文字コードと改行コードの変換は簡単ですね。でも UNICODE の正規化がちょっと問題。アプリはなさそうですが、Web サービスならありました。ということで、CyberChef を採用。サーバーにデータを送信しない点も好印象。英語のみのインターフェイスですが、カンタンなので頑張ろう。
※CyberChef は、何か色々変換したりできる超便利なツール群です。専門的なエンコード・デコードから QR コード作成等なんでもこいの便利ツール。英国政府通信本部(GCHQ)が開発したそうですよ。なんかかっこいい。なお、ダウンロードしてローカルサーバーでも動作OK。より安心なので私もそうしてます。詳しくは検索しよう。
CyberChef で変換する手順
- 左上の Operations の下の検索窓に、
Normalise Unicode
と入力し、ヒットした項目を Recipe 欄にドラッグ&ドロップします。Normal Form をNFC
に変更して完了。 - 次は
Encode text
と入力。同様に Recipe 欄にD&Dし、こちらはJapanese Shift-JIS (932)
を選択します。よく使うなら Recipe 欄の右にあるボタンから保存しておきましょう。呼び出しもこの辺のボタンからできます。 - 次に Input 欄右側のアイコン群から「Open file as input」をクリックし、該当のテキストファイルを選択します。
- 読み込まれたら下の Output 欄に、恐らく文字化けした状態でグチャッと表示されます。気にせず保存ボタンを押し、ローカルに保存すればできあがり!(なお、どうしても文字化けが気持ち悪ければ、下のどこかから設定できます)
ちなみにUNICODEの正規化は、実は行わないでもインポートはできます。でも正規化しないと、例えば「パーク」が「ハ?ーク」になったりします。知りませんでしたが、UTF-8では文字合成とやらができるようで、「ハ」と半濁音を合成して「パ」にしているそうでして。で、変換時にその半濁音が化けると。やめてよ… てかやよいさん、UTF-8にしておくれよ… でもお国関連のシステムは相変わらずShift-JISだから、やよいさんに言うのもお門違いか。国…
5. やよいにインポートしよう!
最後にやよいで仕訳日記帳を開き、インポートしましょう。この時、初期状態では .txt
形式のファイルを選ぶようになっています。ので、拡張子を .txt
にしておくと少しだけラクなんですね。さて、これでインポートできたはずです。お疲れ様でした。
おわりに
最近はオンライン版もあったり、通帳からの自動取り込みや、ScanSnapだとレシートスキャンからのやよいへ自動入力もあったりと、どんどん便利になってます。ただ、レシートスキャンからの自動登録に関しては残念ながらまだ不安定。データ管理もやよいのクラウドのみに任せっきりにするのも不安が残るので、データ管理もまだ手作業。どうか早くグッと良くなって、今回のような奇妙な悩みに苦しむ人がいなくなる未来が来ますように…